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妊娠したら死にたくなったネタバレ全話!漫画の最終回結末まで詳しく紹介

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妊娠したら死にたくなったネタバレ全話!最終回結末や読んだ感想も詳しく紹介

当記事は「妊娠したら死にたくなったネタバレ全話!漫画の最終回結末まで詳しく紹介」と題してお届け!

妊娠・出産は多くの女性にとって人生の大きな出来事ですが、時として想像を絶する困難が待ち受けていることもあるでしょう。

漫画『妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~』は、作者である橘ちなつ氏の実体験に基づいた衝撃的な作品です。

この漫画は単なるフィクションではなく、実際に作者が経験した産褥期精神病の闘病記録として描かれました。

妊娠・出産への憧れから一転、想像を絶する精神的苦痛に襲われる主人公の姿を通して、この病気の恐ろしさと現実を伝える貴重な作品となっています。

今回はそんな『妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~』の最終回結末までの全話ネタバレ、そして本作を読んだ感想をわかりやすくご紹介!

詳しいストーリーが知りたい方は、ぜひ最後まで楽しんでいってください。

目次

『妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~』作品情報

作品名妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~
作者橘ちなつ
出版社/レーベルBBコミック
ジャンル人間ドラマ
配信中の電子書籍サイトめちゃコミ、シーモア等

本作品は橘ちなつ氏によって描かれた実体験ルポ・エッセイ漫画です。

最大の特徴は、作者自身が実際に体験した壮絶な闘病経験を赤裸々に描いたノンフィクション作品であることです。

単なる娯楽作品ではなく、同じ苦しみを抱える人々への啓発書としての役割も果たしています。

作者は自らの経験を通して、産褥期精神病という病気の存在を広く社会に知らせ、同じような苦しみを抱える人々を助けたいという明確な意図を持って制作されました。

『妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~』に原作小説はある?

『妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~』に原作小説は存在しません。

本作品は橘ちなつ氏の実体験を基にした完全オリジナルの漫画作品です。

作者自身が妊娠・出産を契機に発症した産褥期精神病の体験が唯一の「原作」と言えるでしょう。

フィクションの小説を原作とするのではなく、作者の実際の闘病記録が物語の基盤となっています。

このため、作品には他では得られないリアルな当事者の視点が込められており、患者本人の生の声として貴重な一次資料的価値を持っています。

同時に、実体験に基づいているからこそ、読者に与える衝撃や感動も一層深いものとなっています。

『妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~』は完結してる?

『妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~』はすでに完結している漫画作品です。

話数は全30話で全6巻、合本版では全2巻で物語が完結しています。

2021年5月から橘ちなつ先生の一身上の都合により、長い休載がありましたが、無事に完結を迎えました。

主人公が産褥期精神病を発症してから、適切な診断を受け、治療を経て回復するまでの道のりを丁寧に描写しています。

『妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~』ネタバレ全話

ここからは物語の詳細なネタバレを含む内容をお伝えします。まだ作品を読んでいない方はご注意ください。

物語は主人公千夏の幸せな妊娠期間から始まり、出産後に襲いかかる想像を絶する精神的苦痛、そして回復への長い道のりを描いています。

各話ごとに千夏の心境の変化や症状の進行が丁寧に描写され、読者は当事者の視点で産褥期精神病の恐ろしさを体感することになります。

それではさっそくネタバレをみていきましょう!

『妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~』1話~5話ネタバレ

主人公の千夏は、妊娠・出産を心から憧れていました。

お腹が大きくなっていく十月十日は、幸せの象徴そのものだったのです。

しかし物語の冒頭では、出産から2ヶ月半が過ぎた千夏が病室で手足を拘束され、「なんでいつまでも縛るの!もう普通なのに!」と必死に叫んでいる衝撃的な場面が描かれています。

なぜこのような状況になったのか、物語は1年3ヶ月前にさかのぼります。

結婚4年目の千夏は夫の涼太に「そろそろ子どもが欲しい」と相談しました。

薬剤師の涼太が心配したのは、千夏の過去です。

結婚前、少女漫画家として働きすぎて心のバランスを崩し、Kメンタルクリニックで抗不安薬を処方されていたのです。

千夏の「1年間調子が良くて、完全に断薬できている」という言葉を信じた涼太。

二人は妊活を決意し、妊活開始から半年後の2013年12月、待望の妊娠が判明します。

「涼ちゃん…できたよ…!赤ちゃんできたよ…!」涼太は喜びのあまりその場にへたり込みました。

しかし妊娠が分かって数週間後、千夏は想像を絶するつわりに襲われます。

常に強い吐き気と「匂いつわり」で苦しみ、体重は8kg減少しました。

妊娠6ヶ月になっても症状は治まらず、尿検査でケトン+3という飢餓状態の結果が出て、S総合病院への入院が決定されます。

「絶飲食で1日4本の点滴」という治療を受け、2週間後に千夏は半年ぶりに食事に挑戦しました。

大根の煮物を口にした瞬間、「あれ…?えずかない」。

その味に涙を流し、お腹の赤ちゃんが男の子だと判明して夫婦は「帰ろっか、パパとママと3人で、おうちへ」と退院しました。

妊娠8ヶ月に入り、穏やかな時間が流れていました。

実母が孫のために手作りのおくるみを作ってくれると申し出て、千夏は「いつか母のような母親になりたい」と愛情を込めてお腹を撫でていました。

しかし翌日、理由もなく涙を流すようになります。

妊娠9ヶ月目、激しいパニック発作が起こりました。

体はガタガタと震え、涼太が「何が怖い?」と問いかけても「ただなんか怖い感じがする」という漠然とした恐怖に千夏は支配されていきます。

実家での療養中、さらに衝撃的な変化が現れました。

お腹の赤ちゃんが動くのを感じた千夏は「お腹の中からもう出ていって」と、愛するはずの我が子を異物のように拒絶する言葉を口にしたのです。

家族の手に負えなくなり、病院へ向かう途中で、車道に飛び出そうとする危険な行動を取りました。

S総合病院の医師は「じゃあ、産んじゃおうか!」と緊急の帝王切開を提案します。

予定日より1ヶ月半早く、2400gの男の子が誕生しました。

涼太は赤ちゃんに「翼(つばさ)」と名付け、千夏は「ママとしてちゃんとがんばるから」と我が子への愛情を誓いました。

しかし産後2日目の夜、千夏の足が意志とは無関係にガタガタと震え始めます。

「もう妊娠してないのに…」出産すれば治ると信じていた最後の希望が打ち砕かれた瞬間でした。

精神科医の宇田川は足の震えを抑える薬を提案しましたが、「薬を飲んだら母乳で育てられなくなる」という厳しい選択を迫りました。

千夏は涙ながらに「薬をください」と懇願し、母親としてのプライドよりも自分の平穏を選びました。

実家での療養中も症状は改善せず、ベビー服を見ただけでパニックを起こすようになります。

限界を感じた涼太が宇田川医師に電話すると「明らかな希死念慮です」と診断され、緊急入院が決定しました。

「G病棟まできてください。そこが閉鎖病棟になるんで」

2014年の夏、千夏の長く過酷な戦いは、鉄格子の嵌められた閉鎖病棟で始まることになったのです。

『妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~』6話~10話ネタバレ

2014年7月末、千夏はS総合病院の精神科閉鎖病棟に入院しました。

想像を超える過酷な環境が彼女を待っていたのです。

入院から1週間が経っても、千夏の症状は悪化の一途をたどります。

体の奥から湧き上がる止められない興奮感、精神を焼き尽くすような焦燥感、そして一瞬も休まない両脚の動き。

心身ともに疲弊した千夏は、面会に来た夫の涼太にすがりつき「疲れた、苦しい」「お願い、殺して」と懇願するほど追い詰められていました。

G3病棟は病院の奥にある古い建物で、昼でも日の光が差し込まない重苦しい場所でした。

重厚な扉で外の世界と完全に遮断されたその空間で、千夏は面会時間が終わるたびに「帰る、連れて帰って」と泣き叫びます。

主治医の宇田川からの言葉は、千夏をさらに深く傷つけていきました。

止まらない脚の症状を訴えても「脚に問題はない、運動だと思えばいい」と突き放され、診断書には病名を記載しながらも本人には「病気ではなく、あなた自身の物の考え方に問題がある」と人格を否定されました。

さらに「気の持ちよう」「考え方を改めない限り、ここから出るのは難しい」と追い打ちをかけられ、31年間普通に生きてきた千夏の自己肯定感は粉々に砕かれてしまいます。

希望を失った千夏の日課は、朝のうちに自殺を図ることでした。

NICUにいる息子・翼のためのエプロンで首を吊ろうと試みますが、意識を失うこともなく、ただ苦しいだけ。

病棟には様々な患者がおり、個室からは「殺してよー!」という叫び声が日常的に響いていました。

転機は夫・涼太の気づきから始まります。

薬剤師である涼太は、妻の処方箋を見て愕然としました。

そこには錯乱した患者を強制的に鎮静させる、非常に強い薬が記載されていたのです。

宇田川医師は「本人にとって今の方が楽」と悪びれもせず、治療という名で千夏を「廃人状態にした」も同然でした。

涼太は3ヶ月の介護休暇を取得し、NICUを退院した翼の育児に一人で奮闘します。

片道1時間かけて千夏の面会に通いながら、3時間おきの授乳やおむつ交換に追われる日々。

一方、強い薬の副作用で視力を失った千夏の心には、我が子への嫌悪感が生まれていました。

「知らない、こんな子」「かわいくもない」「自分はママなんかじゃない」。薬によって母性は根こそぎ奪われてしまったのです。

薬が中止され視力は回復しましたが、千夏の猜疑心は深まっていきます。

涼太が翼の発熱で面会を切り上げようとすると「翼なんかどうでもいいじゃん!」と叫び、愛する夫までもが息子に盗られるという妄想に囚われました。

涼太は初めて妻を強く突き放しますが、心の中で「千夏なしの未来なんてありえない」と誓います。

わずかな回復の兆しが見えた頃、千夏は同室患者から「外泊」を提案されました。

医療保護入院の彼女にとって、退院の決定権は涼太にあります。

外泊を成功させれば退院できる──その希望にかけて、千夏は週末の外泊許可を得ました。

実家での外泊中、翼を抱いた千夏は「かわいい」と自然に感じる自分に気づきます。

しかし心の奥の嫌悪感は消えません。

それでも病棟に戻りたくない一心で、千夏は涼太に嘘をつきました。

「自分にとっての一番の薬は涼太と翼だってこと」

この偽りの言葉は功を奏し、9月2日、入院から1ヶ月と10日後に千夏は退院しました。

「もう二度とこんな所とは関わらない」と誓う千夏でしたが、その仮面はすぐに剥がれ落ちることになるのでした。

『妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~』11話~15話ネタバレ

9月中旬に退院した千夏は実家で暮らしていました。

昼間は普通に過ごせるようになり、薬を飲めば足の震えも治まります。

でも心の深いところでは、息子への複雑な感情が残り続けており、何度も夫に「もう大丈夫よね?」と確認を求める毎日でした。

義母の勧めで久々に夫婦で外出した日、千夏はホームセンターで漫画道具のセットを発見します。

元漫画家の彼女は「これがあれば立ち直れる」と希望を感じました。

ところが家に帰ってペンを握った途端、翼が大声で泣き始めます。

その瞬間、千夏の心に暗い何かが戻ってきました。

子どもを高く持ち上げながら恐ろしいことを口走る千夏を見て、家族は二人を引き離すしかありませんでした。

アパートに戻った千夏と涼太。

しかし千夏の症状は日に日にひどくなっていきます。

足が勝手に動き続ける様子をアンデルセン童話の「赤い靴」になぞらえ、自分は罰を受けているのだと信じ込みました。

薬も効かなくなり、床に頭をぶつけながら謝り続ける日々。

母親になりたかったのではなく、母親らしい自分に憧れていただけだったと気づき、深い罪悪感に襲われます。

涼太も限界でした。

それでも「君が笑えるようになるまで僕も元気になれない」「夫婦だから当然だ」と支え続けます。

けれどその優しさが、千夏をさらに苦しめることになりました。

自分のせいで大切な人を巻き込んでいる、そう感じた千夏の心に一つの考えが浮かびます。

涼太が母親の見舞いに出かけるチャンス。

千夏は元気なふりをして夫を送り出すと、こっそり遺書をしたためました。

夫の服を着て街の高層マンションへ向かう途中、自分が生まれた病院の前を通ります。

一瞬迷いが生じましたが、やがて屋上に立った千夏は覚悟を決めました。

身を投げようとした瞬間、ポケットの携帯が鳴ります。

それは涼太が事前に忍ばせておいたもので、電話の向こうで夫が必死に叫んでいます。

眠らせて治す新しい治療法があること、必ず良くなることを伝え、千夏を危険な場所から遠ざけようとします。

涼太の声に導かれ、千夏はゆっくりと地面に降りていきました。

ところが向かった先は、以前と同じS総合病院でした。

この地域では選択肢が限られていたのです。

自殺を図ろうとした患者として運ばれた千夏を待っていたのは、前回より厳しい処置でした。

今度はベッドに体を固定され、身動きが取れません。

尊厳を奪われるような扱いに、付き添いの母親は涙を流すばかりです。

拘束された夜、千夏に久しぶりの生理が来ました。

壊れた心と裏腹に、体は正常に機能していることに複雑な思いを抱きます。

翌日、隣の部屋から聞こえる患者の苦しい声と、拘束具についた小さな穴の模様が千夏の恐怖症を刺激しました。

パニックを起こす彼女に、スタッフは冷たい対応しか示しません。

わずかに残っていた心の平静も失われ、千夏の苦悩は底なしの深さへと続いていくのでした。

『妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~』16話~20話ネタバレ

千夏は病院で身体拘束を受けることになりました。

手足と胴体を固定する「三点拘束」が24時間続き、身動きが全くとれない状態です。

血の流れが悪くなって体が腫れ上がり、背中の痛みは我慢の限界を超えていました。

「背中いたぁ…」「看護師さぁぁん!」と必死に叫んでも誰も来てくれません。

隣の部屋からは老婆の「おむつ替えてよおぉ!」という叫び声が聞こえ、千夏は自分も同じ状況になってしまう恐怖に襲われます。

以前優しくしてくれた看護師の延岡さんがようやく現れましたが、拘束具を隠してほしいという千夏の願いを一蹴し、「でたらめなことばかりいってたら誰も相手にしてくれなくなるんですよ?オオカミ少年じゃないですか」と冷たく言い放ちました。

絶望の淵にいた千夏のもとに、夫の涼太が面会にやってきます。

家族との面会中は身体拘束が解除されるため、千夏は久しぶりに自由な体を取り戻せました。

涼太は世間の話や息子の翼の様子、義母の体調などを優しく話してくれます。

閉ざされた世界にいる千夏の心を、少しでも和らげようと必死に努力していました。

そんな中、涼太は重要な告白をします。

マンションの屋上で話した「眠らせて治療する方法」は実は作り話だったと涙ながらに謝罪したのです。

しかし千夏は意外な反応をみせ、「不思議で仕方ないんだけど、なぜかホッとしてるんだよ」と答えます。

そして、あんなに死にたいと思っていたのに、今は「生きてて良かった」と思うようになっていたのです。

そこへ主治医の宇田川が現れ、千夏の病気について詳しく質問を始めます。

「頭の中にはあなた以外の誰かがいますか?」「命令してくる声が聞こえますか?」この質問への返答により、宇田川医師の治療方針は大きく変わりました。

12種類も処方されていた薬がたった1種類の抗うつ薬に減らされたのです。

「あなたはおそらく統合失調症ではありません」幻聴がないことが大きな理由でした。

しかし妊娠出産でこのような状態になる患者は「前例がない」と告白され、千夏は不安を抱きます。

涼太が息子・翼のお宮参りの話をした時、千夏の心に強い感情が湧き上がりました。

「こうして天井を眺めつづけている間にも翼はどんどん成長していく」息子の成長の世界に母親である自分がいなくなる未来への恐怖から、「治りたい……」「ちゃんと翼を育てたい」「あの子の母親になりたいよ…!」と心の底から叫びました。

その夜、見回りの男性看護師が千夏の話を聞いてくれます。

息子のお宮参りに参加できないかもしれないと嘆く千夏に、「何いってるんですか 治りますよ」「賭けてもいいです」「治って笑顔で退院できる!」と断言してくれました。

その優しい言葉が千夏の心を落ち着かせます。

9月25日、再入院から6日目。

千夏は日記をつけられるようになり、両手の拘束も解除されました。

他の患者たちとも会話ができるようになり、漫画家志望の「たまちゃん」が描いてくれたムキムキの似顔絵に久しぶりに心から笑います。

涼太が持ってきたNICUでの翼の写真を見ながらアルバム作りを始めた千夏。

「目は自分似かもしれない」「鼻と輪郭は涼ちゃん似かな」と自然に我が子の面影を探す姿は、まさしく母親そのものでした。

「きっと必ず愛せるようになる」「だって、それは母親の本能なはずだから」と自分に誓います。

10月初旬、身体拘束がすべて解除された千夏でしたが、まだ自分の中に「母性」を感じられずにいました。

看護師の高坂から「暴露療法」として息子に会うことを提案され、千夏は延期になっていた翼のお食い初めに参加することを決意します。

10月14日、1ヶ月ぶりに翼と再会した千夏。お食い初めの儀式で翼を抱きかかえた瞬間、再び「受け入れがたい異物」という感覚が甦りました。

しかし今度は逃げませんでした。

「この子のことをあまりにも知らないから」「教えてほしいな、母性の在り処を」千夏は翼を抱きしめ続けることを選び、心の中で我が子に語りかけます。

「ねえ翼…これからママにたくさんのことを教えてほしいな。あなたを愛するということ、母性の在り処を」

こんな欠陥だらけの母親だけど、それでもあなたを愛したい。

千夏の回復への道のりはまだ続いていますが、確実に母性への扉が開かれ始めていました。

『妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~』21話~25話ネタバレ

息子・翼のお食い初めを無事に終えた千夏。

夫の涼太は「千夏がんばったな。正直すごく驚いたよ」と、千夏が終始落ち着いていられたことを心から喜んでくれました。

しかし実家で過ごした夜、千夏は衝撃的な変化に気づきます。

外の世界にあふれる「情報」の多さに圧倒され、病院から持参したハンカチの無機質な匂いに「落ち着く…」と感じる自分がいたのです。

あれほど憎んでいた閉鎖病棟が、いつの間にか「安心できる場所」に変わってしまっていました。

千夏は「自他ともにもう大丈夫って確信できるまで退院はしない」と決意し、毎週末の外泊を続けることにします。

10月20日、翼のお宮参りの日でした。

薬の副作用も治まり、千夏は「大丈夫な気がする」と確かな自信を感じていました。

翼を抱っこしても嫌なざわつきがなく、「かわいいかも」と思えた瞬間もありました。

しかしその夜、再び発作が起きてしまいます。

看護師の高坂と考えた対処法で一度は「不穏」をコントロールできましたが、翌朝、床を転げまわる千夏を見た父は混乱し、ついに怒鳴ってしまいます。

「翼がかわいそうだと思わんのか!おまえみたいな母親、世の中にはおらんぞ!」

父の言葉に悪意がないことはわかっていましたが、回復しかけていた千夏の心は再び粉々に砕け散ってしまいました。

病院に戻った千夏。

応接室では父が医師に「これは甘えですか?」とすがりついていました。

そこに現れた看護師の高坂は、父を外に連れ出し「言葉ひとつが取り返しのつかない事態への決定打になることがある」と静かに諭します。

千夏が高坂に感謝を伝えると、彼は衝撃の告白をしました。

「自分も昔、患者だったから…」。高坂自身もうつ病を経験していたのです。

その夜、千夏は再び発作に襲われます。

対処法はもはや効果がなく、千夏の思考はオカルト的な方向へ向かいました

過去に犯した「罪」が罰として降りかかっているのではないかと考えるのです。

3度目の外泊でも発作を起こし、「ゆるしてください、どうか…ゆるして」と泣き叫びました。

5年前、幼馴染が母親になった姿を見て「母親になりたい」と願った千夏。

30歳を過ぎて医師から妊娠の許可を得た時「いっぱい抱きしめてあなたが大切だよって伝えたい」と純粋に願っていました。

しかし現在の千夏は「どこにあるの?母性」と泣き叫ぶばかりでした。

薬の量を減らしても外泊は失敗の連続です。

高速道路でパニックを起こし、もはや自分の体をコントロールできません。

「出口のないループ」に絶望した千夏は、涼太との離婚を決意します。

「存在自体なかったことに」してもらおうと考えました。

「何が原因なの?」「どうしたら治るの?」誰も答えをくれない中、千夏は「病名がほしい」と切望していたのです。

11月11日、転機が訪れます。

産後2度目の生理が始まると、千夏の心身に劇的な変化が起きました。

「吐き気がほとんどない」「体が静かだ。感覚がクリアだ」入院以来初めてデイルームで朝食をとり、「美味しい!」と感じられたのです。

過去を振り返ると、身体拘束中に落ち着いていた時期や、比較的穏やかだった時期が、すべて生理周期と一致することに気づきます。

友人にも生理前にイライラする子がいました。

自分の症状は「ものすごく強烈なやつ」なのではないでしょうか。

「脳を支配して人間じゃなくしていたのは女性ホルモンだったの…?」

千夏は自分を操っていた怪物の正体が「女性ホルモン」だと確信しました。

それは暗闇の中に差し込んだ、初めての確かな光だったのです。

『妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~』26話~29話ネタバレ

千夏の病状が安定し始めた頃、主治医の宇田川医師から「医療保護入院から任意入院に変えてもいい」と提案されました。

これは千夏自身の意思でいつでも退院できるという意味で、回復への重要な段階でした。

任意入院への切り替えにより、院内なら30分間一人で自由に歩き回れるようになり、千夏は病院内の図書室によく通うようになります。

図書室で過ごす時間の中で、千夏は自分の足の不快感が「レストレスレッグス症候群」の症状にそっくりだと気づきました。

しかし医師は単なる不安症状として片付けており、千夏は疑問を感じていました。

決定的な証拠となったのは、夫の涼太が持参した基礎体温表です。

妊活中の記録を見ると、排卵期になると必ず精神状態が悪化していることが明確に記されていました。

11月11日、初めて一人での外出許可を得た千夏は、恐怖を感じながらも一歩ずつ前進します。

歩いているうちに妊娠前の記憶がよみがえり、地図も持たずに南の離島をひとり旅していた頃の「わくわく」と「感動」に満ちた気持ちを思い出しました。

そんな中、外出先の書店で、千夏は運命的な発見をします。

「産前産後の精神疾患」という本の中で「産褥期精神病」という病名を見つけ、自分の症状と完全に一致することに気づいたのです。

希望を見つけた千夏でしたが、宇田川医師との面談は困難なものとなりました。

千夏が女性ホルモンとの関連性を訴えても、医師は教科書的な知識で反論し、「自分の子供が怖いなんて信じられない」と突き放します。

ようやく見つけた希望を否定された千夏が絶望しかけた時、涼太が専門医の新垣先生を連れてきました。

新垣先生は「母親を神格化しすぎる世間の風潮を危惧している」と述べ、千夏の仮説に真摯に耳を傾けます。

そして漢方薬を併用する治療法を提案し、宇田川医師もその見解を受け入れざるを得ませんでした。

5度目の外泊で、千夏は大きく成長した息子・翼と再会。

公園で他の母親と育児トークをする中で複雑な感情を抱きましたが、実家で翼が初めて千夏に向けて「春の陽光のような笑顔」を見せた時、これまでの苦しみが報われるような光を感じました。

退院後の日常は「想像以上のいとおしさ」に満ちていましたが、病の傷跡は残っていました。

絵を描こうとしてトラウマが刺激され、恐ろしい悪夢にうなされることもありました。

しかし千夏は基礎体温から自分が高温期に入ったことを確認し、「生理が来れば嵐は過ぎ去る」ことを理解していました。

「怖くなってもいい。思い通りにならない自分をもう責めない」と決意します。

最も重要な転機は、家族3人で初めて夜を過ごした時でした。

翼の夜泣きに「抱っこしてみていい?」と申し出た千夏でしたが、頭の中で翼の声色をした幻聴が響き始めます。

「僕のことを愛してないから」という残酷な問いに、千夏は涙ながらに絶叫しました。

「違う!!!気持ち悪くなんてないよ!翼に悪いところなんてない」

彼女は自分の頭の中に「コントロールできない領域」があったことを認めながらも、これまでの酷い言葉は「決して本心からじゃない」と断言します。

「愛したくて、愛したくて」たまらない、かけがえのない宝物だと。

あふれ出す愛情は涙と共に「翼、本当にごめんね。産まれてきてくれて、ありがとう」という言葉となって紡がれました。

その言葉に涼太も涙を流し、「ちゃんと…俺たちは家族だ」と力強く宣言します。

親子3人で初めて「夜」を越えられた瞬間でした。

それからの日々、千夏は翼との時間を少しずつ積み重ね、初めての離乳食を食べさせながら、息子に何度も「ああ産まれてきて良かった」と感じてほしいと願うのでした。

『妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~』の最終回結末ネタバレ(30話)

千夏は病気を乗り越え、幸せを手にすることができるのか?

『妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~』の最終回結末についてみていきましょう!

妊娠したら死にたくなった最終回結末ネタバレ:千夏を苦しめた病気の真実が明らかに

専門医の新垣先生が登場し、千夏を長い間苦しめていた症状の正体を解き明かしていきます。

新垣先生は千夏と宇田川医師に、出産後の女性の体で何が起こっているのかを丁寧に説明しました。

妊娠中に分泌されていたエストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンは、赤ちゃんが生まれた瞬間から急激に減り始めます。

特に心を落ち着かせる働きを持つエストロゲンは、人生で最も激しく減少するのが出産直後なのです。

さらに出産は、全治1~3ヶ月の大けがと同じくらいのダメージを母体に与えます。

このホルモンの急変と体への大きな負担が重なることで、産後の女性は極めて不安定な状態に陥ってしまいます。

新垣先生は「自分の体をコントロールできない恐怖は想像を絶するものです。わが子への愛情を感じられないという現実が、死を選ぼうとするほど追い詰めたのでしょう。」と千夏の辛い体験に深く共感を示しました。

そして千夏が最も聞きたかった言葉を告げます。

「でも、それは仕方のないことなんです。橘さんが悪いわけではありません。だってそういう病気なんですから!」

ついに千夏の症状に正式な病名が付けられました。

「産褥期精神病」

これは1000人に1人の確率で起こる珍しい精神的な病気でした。

病名が分かったことで千夏は安心し、涙を流しました。

不謹慎だと思いながらも「病気だったんだ、良かった…!」と心の底から救われた気持ちになったのでした。

妊娠したら死にたくなった最終回結末ネタバレ:宇田川医師からの謝罪と退院

正しい診断が下されたことで、千夏の周囲にいる人々の気持ちにも大きな変化が生まれていきます。

新垣先生から産褥期精神病について詳しく聞いた宇田川医師は、自分の間違いに気づきました。

彼は後日、千夏のもとを訪れてこう謝罪します。

「医師としての知識不足が原因で、病気そのもの以外の苦痛を与えてしまいました」と深く頭を下げたのです

そして自分が持っていた「母親は我が子を無条件に愛するもの」という固定観念、つまり「幻想」が正確な診断を妨げていたことを認めました。

そしてついに退院の日を迎えます。

病棟の仲間たちに見送られながら、千夏は夫の涼太と一緒に閉鎖病棟を出ました。

だんだん小さくなっていく病院の建物。

波乱に満ちた数カ月間は「過去」となり、彼女は「普通」の日常生活へと帰っていきます。

妊娠したら死にたくなった最終回結末ネタバレ:家族3人で迎える新しい毎日

退院を果たした千夏は、これまでとは違った目で世界を見るようになりました。

何気なく歩けること、椅子に座って本が読めること、食事を美味しく感じられること。

そのひとつひとつが「決して当たり前ではない」大切なことだと実感していました。

妊娠や出産は幸せの象徴だと信じていたけれど、現実はとても厳しく、たくさんの人に迷惑をかけてしまいました。

それでも千夏はこう思います。

「でも、この1年で一番忘れられないのは翼の産声なんだ」

そして明るい笑顔で「翼を産むことができて本当に良かった!」と言い切りました。

物語のラストは、家族3人で過ごすクリスマスの温かいシーンで終わります。

過去の辛い記憶は、今でもはっきりとした悪夢として残っています。

でもそれも全て受け入れて、「一緒に前に進もう」と決意を固めた千夏。

彼女の腕には、サンタクロースの帽子をかぶった翼が抱かれています。

「あなたは神様からの贈り物・・このぬくもりは奇跡。めぐり逢ってくれてありがとう」

家族3人の幸せそうな笑顔と共に、感動的な物語は幕を閉じます。

『妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~』を読んだ感想

『妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~』を読んで、まず強く感じたのは作者の勇気でした。

自分の最も辛い体験を赤裸々に描き、それを世に送り出すことの意義と勇気は計り知れないものがあるでしょう。

産褥期精神病という病気について、この作品を通して初めて詳しく知ることができました。

単なる「マタニティーブルー」とは全く異なる、深刻な精神疾患であることが痛いほど伝わってきます。

特に印象深かったのは、千夏が自分の症状を理解できずに苦しむ場面。

何が起こっているのかわからない恐怖は、想像するだけでも恐ろしいものがあります。

病名がわかった時の安堵感も、読者として共有することができました。

夫・涼太の献身的な支えには心を打たれるものがありました。パートナーがこのような病気になった時、どれだけの理解と愛情が必要かということを改めて考えさせられます。

一方で、千夏への批判的な声があることも理解できるでしょう。

しかし、それは精神疾患に対する社会の理解不足を表しているとも感じられます。

病気は誰にでも起こりうるものであり、患者を責めるのではなく支えることの大切さを学びました。

医療従事者の描写については賛否両論があるようですが、患者の主観的な体験として受け止めることが重要だと思います。

医療現場の改善にもつながる貴重な証言として価値があるでしょう。

この作品は、同じ病気で苦しむ人々にとって希望の光となる一方で、社会全体に対しても重要な問題提起をしています。

妊娠・出産は決して簡単なことではなく、様々なリスクがあることを広く知らせる意義深い作品だと感じました。

まとめ

『妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~』の全話ネタバレ、最終回結末、感想についてお届けしてきました。

本作は、単なる漫画作品を超えた社会的意義を持つ貴重な作品となっています。

作者・橘ちなつ氏の実体験に基づいた生々しい描写は、産褥期精神病の実態を世に知らしめる重要な役割を果たしているでしょう。

全30話で完結する本作品は、主人公千夏の発病から回復までの全過程を丁寧に描き出し、読者に深い感動と学びを与えてくれました。

夫・涼太の献身的な支えや、最終的な家族の絆の回復は、多くの読者に希望を与える結末となっています。

作品に対する読者の反応は賛否両論に分かれていますが、それ自体が精神疾患に対する社会の理解不足を浮き彫りにする重要な指摘でもあるでしょう。

この作品をきっかけに、産褥期精神病への理解が深まり、同じ苦しみを抱える人々への支援の輪が広がることを願ってやみません。

妊娠・出産を控えている女性やそのパートナー、そして医療従事者にとっても、この作品から学べることは非常に多いはずです。

困難な体験を乗り越えた作者の勇気ある発信に、深い敬意を表したいと思います。

「妊娠したら死にたくなったネタバレ全話!漫画の最終回結末まで詳しく紹介」でした。

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